私はあまり祖父が好きではなかった。
あまり話をしないし、何を考えてるのか分からなかったからだ。
そんな祖父が小学3年生の頃の私を誘って出かけようと言ったことがあった。
「遊園地のチケットをもらったんだけど、今度おじいちゃんと行かないかい?」
そんな風に誘われたと思う。
私は「今はいいや」と乱暴に断った。
祖父と2人は嫌だったのかもしれない。
「そうかい、じゃあまたね。」
そう言った祖父の顔を私はちゃんと覚えてない。
…
そんな祖父が今年亡くなった。
母と祖父の部屋を整理してると、郵便局の封筒の中に当選通知と一緒にしまわれたディズニーの古いチケットが出てきた。
未使用だった。
私と行くために抽選に応募したのかな。
当選して喜んだのかな。
私をどんな気持ちで誘ったのかな。
私が断った時、どんな気持ちだったのかな。
いつか、一緒に行くつもりでしまっていたのかな。
一瞬でいろんな思いが頭に浮かび、自分でも信じられないほど泣いた。